いつもの朝。
同じように目覚め、同じようにコーヒーを淹れる。
でも、今日はちょっとだけ違った。
その違いは、「コーヒーカップ」でした。
もらった景品から、やさしいカップへ
これまで使っていたコーヒーカップは、家電量販店でもらった景品でした。
形は寸胴で円柱型。少し大きめで、どこか業務用っぽい雰囲気。
特に不満があるわけでもなく、かといって愛着があるわけでもない、そんな存在。
ただ最近、「そろそろ自分の気に入るカップが欲しいな」と、ふと思うようになっていました。
とはいえ、忙しさに紛れて探しに行くこともなく、なんとなく保留のまま。
そんなある日、家族と立ち寄った100円ショップで、ふと目に留まったカップがありました。
100円ショップで見つけた“自分の一杯”
それは、底がほんの少しすぼまった、やさしいクリーム色のコーヒーカップ。
マットな質感で、適度な厚みがあり、手のひらにしっくりくるサイズ。
柄もなければ主張もない、ただそこに静かに佇んでいるような佇まい。
価格は110円。だけど、それ以上の「なにか」を感じました。
「これは自分のための一杯になりそうだ」、と。
そう思って、家に連れて帰りました。
まろやかに感じた、朝のコーヒー
翌朝、そのカップにコーヒーを注いでみました。
…一口飲んで、驚いたんです。
あれ?なんだか、まろやか。
昨日までと同じ豆、同じ淹れ方なのに、味がやさしく感じられたのです。
もちろん気のせいかもしれません。
でも、「気がする」という感覚は、案外大事なんだと思います。
それは心のセンサーが動いた証拠。
“自分の気持ちが、このカップを歓迎している”というサインでもある気がしました。
小さな変化が、暮らしをリセットしてくれる
道具を変えるだけで、日常の風景が少し変わることがあります。
心のどこかで「変えたい」と思っていたものを見直したとき、
新しい風がすっと吹き込んでくる。
それは大きな決断じゃなくてもいいんですね。
110円のカップひとつで、こんなにも朝の気分が変わるなんて。
たぶんこれは、ただの買い物ではなくて、
“これからの自分”を迎える準備だったのかもしれません。
今日のそら色
気づきって、いつも「そら」のように身近にある。
でも、ちゃんと見上げないと気づかない。
コーヒーカップを替えた朝は、
まるで空気が少し澄んでいるような、そんな気がしました。